Vol.17 隅から隅まで改修された音響反射板

 突然ですが皆さんは音響反射板という設備をご存じでしょうか。
文字通り、音を反射させて響かせる板のことです。
通常の舞台の形は、音が舞台袖や天井(私たちはスノコと呼びます)に拡散したり、幕類が音を吸収したりするため音が響かず、生演奏には適していません。
この音響反射板を設置することにより、豊かな響きで生演奏を楽しむことが出来るようになります。

 学生の皆さんでしたら、合唱部や吹奏楽部の皆さんは音響反射板仕様を、演劇部や放送部の皆さんは舞台幕仕様を見慣れているのではないでしょうか。
▲音響反射板仕様▲舞台幕仕様

 写真のように、音響反射板は客席面以外の舞台を全て囲みます。
それにより音が響く時間を表す残響時間が舞台幕仕様の1.7秒から2.3秒と長くなります。「たった0.6秒じゃないか」と思われるかもしれませんが、違いは明らか。
楽器や歌声の響きが豊かになり、心地よい音楽を楽しむことが出来ます。
この2.3秒というのは音楽専用ホール並の長さで、倉吉未来中心のような多目的ホールとしては珍しい数値です。
この残響時間の長さもあり、演奏家の方々からは「良い響きのホールですね」と高い評価を戴いております。

 そんな残響時間を実現させる音響反射板ですが、長年の使用で色が薄くなったり、傷などが目立つようになっていました。そのため、今回の改修工事で補修と全面塗装を行い、綺麗になりました。そして照明のLED化工事も行いました。
▲塗装のため組まれた足場▲交換のため取り外された既存の照明

 大ホール下手前側扉の拡張工事も行いました。
これまで、「扉が小さくて、ドレスを着て出入りがしにくい」「楽器の出し入れがしづらい」といったご意見を多くいただいておりました。
この扉が今回の工事で片側扉から両扉になり、両方開けるとなんと従来の4倍の広さになりました。
これにより出入りが簡単に、そしてピアノ等大型の楽器の出し入れも出来るようになりました。

▲工事前の扉▲工事後の扉

 また、大ホール音響反射板内のバトンが取り外し可能になりました。音響反射板の後ろにはバトンがついており、演奏会で看板を吊ることが出来るようになっていました。これまでは使用していないときも常に見えている状態でしたが、外すことが可能になり、見た目をスッキリとさせることが出来ます。

▲新しくなった反射板内設バトン▲バトンを取り外したところ

 その他にも、音響反射板内スピーカーが新設されました。
これまではそのスピーカーがなかったため、音響反射板を設置した状態でマイクを使用した際に舞台上の出演者の方々にマイクの音が聞取りにくくなっていましたが、この音響反射板内スピーカーによって、マイクの音が聞き取りやすくなります。
▲取り付けられたスピーカー
※色を修正しています
▲カバーを取り付けた状態


 隅から隅まで盛りだくさんの音響反射板改修工事ですが工事終了後も豊かな残響時間は変わりません。
リニューアルオープン後も様々な演奏会を楽しんでいただければと思います。

〜おまけ〜
 音響反射板設置の様子をYouTubeにて公開しています。是非ご覧ください。
※動画は改修工事前のものです。


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